2021.10.15 04:30別離、便りは無し先月、姉さんが死んだ。姉さんの居なくなった世界は、なんだかとても閑静で窮屈に感じて。麦は寂しんぼうだね、と真ん丸な目で俺を見つめて、両手でわしわしと頭撫でる小さくて温かいあの手はもう無いのだと、嫌でも思い知ることになったんだ。「具合はどうさね」声をかけられて、天井の染みを見ていた...
2021.10.03 14:44願わくばもっと長く、と夢を見る俺が見てきた日々は目尻に涙を貯めてしまう程に幸福な、俺の見た夢だと思うのです。言葉尻が厳しい癖に、しょうがないなぁと目を細めながら優しく人の背中を押すような。素直でないけれど決して他人を放っておけない、そんな気揉み屋達と過ごす夢。そんな、俺の自慢の家族と過ごす夢。「鴻様、こう寒い...